脳梗塞、脳出血後の後遺症が理由で定職が見つからない・・・
上記のお悩み、解決します。
こんにちは。就労支援事業所ミライクの山下です。三重県松阪市で、障害者の就職をサポートする就労支援事業所を運営しています。
今回は「脳梗塞、脳出血になった場合の仕事」についてお話します。
若い方でも発症することがある脳梗塞や脳出血。程度にばらつきがあり、発症後に順調に回復し普段通りの生活に戻れる方がいれば、重度の麻痺が残り日常生活に影響が生じる方もいます。まだまだ働ける年齢の方であれば、仕事への復帰について検討しますが、スムーズに復帰できないということもあります。
今回は、脳梗塞や脳出血になった方に対する仕事復帰についてお話します。
目次(見たいところからチェック!)
脳梗塞や脳出血とは
脳の血管に関連する病気は総称して「脳卒中」と表現されます。
脳卒中は、血栓により血管が詰まる「脳梗塞」と血管が破れることで発症する「脳出血」の2つに分かれます。
脳梗塞には、3つの種類があり、細い血管がつまる「ラクナ梗塞」、脳の太い血管がアテローム変化を生じることで発症する「アテローム血栓性脳梗塞」、心臓等でできた血栓が脳血管まで移動し発症する「心原性脳塞栓症」があります。
脳出血には、2つの種類があり、脳血管が破れる「脳出血」、脳にできた動脈瘤が破裂することで発症する「くも膜下出血」があります。
どのような症状がでるのか
脳梗塞や脳出血を発症すると、その程度や発症した脳の場所によって様々な症状が出現します。
一般的には以下のような症状が出現します。
- 片麻痺
- 構音障害
- 高次脳機能障害
片麻痺
脳梗塞や脳出血により、脳から全身の筋肉に発信される司令が届かなくなることで生じる運動の障がいです。脳は左右の2つに分かれており、それぞれ反対側の体に命令を出します。
つまり、右の脳が病気になると左半身に麻痺が生じ、左の脳が病気になると右半身に麻痺が生じます。
片麻痺になると、移動や日常生活、作業能力など、体を使って行うことに影響が生じます。特に、手の麻痺が強く出る可能性があるため、パソコン作業や力仕事などに影響が生じます。
構音障害
脳梗塞や脳出血により言葉を発声するための機能に障害が残ると、声をうまく発することができなくなります。話し方がぎこちなくなることや、細い声、ブツブツ声など、相手の聞き取りづらい声質になることがあります。後述する高次脳機能障害に含まれる「失語症」と間違えられることがありますが、構音障害と失語症は明確に区別されています。
高次脳機能障害
脳には、その部位によって独自な機能が備わっています。脳梗塞や脳出血により、脳に障害が発生すると、その障害部位によって以下のような特定の症状が出現することがあります。
- 注意障害
- 空間認知の障害
- 失語症
- 感情障害
など
脳梗塞、脳出血の治療はどうするのか?
発症の初期段階では、生命の維持を優先します。その後は、最も後遺症が少なくなるような治療が行われます。
脳梗塞であれば、止まった脳血流を再度促すことで脳機能の回復を目指します。脳出血であれば、脳にできた血腫(出血部位の血が固まったもの)を除去するなどの手術が行われます。その後、発症する確率の高い合併症を防ぐような治療が行われます。
発症後は、片麻痺や高次脳機能障害の程度を踏まえてリハビリテーションが実施されます。理学療法士や作業療法士などのリハビリ職員が所属している病院などで、最長半年の集中的なリハビリにより「日常生活への復帰」を目指して取り組みます。
リハビリテーションは、まずは元の在宅生活に戻れるようにゴール設定されて進めることが多く、必ずしも職場への復帰や転職が支援される環境ではありません。リハビリ期間が終了した場合は、必要に応じて「仕事復帰」をサポートしてくれる地域機関を利用することが求められます。
仕事を行う上で何が課題になるか
脳梗塞や脳出血により、最長半年のリハビリを実施しても、何かしらの後遺症が残る可能性があります。後遺症の程度にもよりますが、以下のようなものに課題が生じることがあります。
- 通勤
- 作業能力
- コミュニケーション能力
- 企業側の就業環境
通勤
片麻痺により歩行能力に影響が生じると、段差や不整地を移動することが難しくなることがあります。普段の通勤で使用していた移動手段が、脳梗塞や脳出血後の後遺症によっては、仕事に復帰する上で高い障壁になることがあります。
作業能力
脳梗塞や脳出血後の後遺症により、何気ない作業に支障をきたすことがあります。例えば、片麻痺によりパソコンのタイピング速度が遅くなることや、物を持った移動が難しくなることなどがあります。幸いに片麻痺の症状が残らなかったとしても、高次脳機能障害により、記憶力や注意力が散漫になることで、作業能力に影響が生じることがあります。
コミュニケーション能力
構音障害や失語症などの影響で、他社とのコミュニケーションがスムーズにできなくなることがあります。元の仕事が他者との関わりの多いものであると、課題になることがあります。
企業側の就業環境
片麻痺や注意力の障害などが残っている場合、企業内の就業環境に工夫が必要になることがあります。
例えば、オフィスの移動経路内に、移動の妨げとなるような環境(パソコンケーブル、荷物など)があれば、座席転換が必要になることがあります。また、注意力に障害が残る場合には、なるべく外的な刺激が入りづらい環境で仕事を進められるような配慮を受ける必要があります。
脳梗塞、脳出血後の仕事復帰に大切なこと
これまでお話した通り、脳梗塞や脳出血は、病気の程度によって生じる後遺症の程度により、日常生活や仕事復帰に影響が生じます。職場復帰のためには、以下について整理する必要があります。
- 後遺症の程度を具体的に把握する
- 企業側に必要な配慮を正確に伝える
- 実際に企業内でのトライアル就労を行う
- 再発予防を目的に日常生活を見直す
後遺症の程度を具体的に把握する
脳梗塞、脳出血後に残っている後遺症について、具体的に把握しましょう。麻痺の程度や注意力、記憶力、コミュニケーション能力などで「できること」「工夫すればできること」「できないので配慮が必要なこと」をまずは自分自身で知ることが大切です。
企業側に必要な配慮を正確に伝える
後遺症により、なにかしたらの配慮が必要であれば、自分が働く企業に正確に伝えましょう。脳梗塞、脳出血後の後遺症には、「目に見える障害→麻痺」や「目に見えない障害→高次脳機能障害」があります。目に見えない障害に対して、企業側から適切な配慮を求めるには、最初に上司や同僚などにしっかりと伝えることが大切です。
実際に企業内でトライアル就労を行う
何はともあれ、まずはやってみないことに具体的な課題は見えてきません。企業にトライアル就労を依頼しましょう。企業側が求める能力や目標を明確にして、実際にやってみます。終了後、成果物の目標とのギャップを把握します。目標に及ばないのであれば、何が原因なのか把握することで、具体的な解決策を分析することができます。
再発予防を目的に日常生活を見直す
脳梗塞や脳出血になった背景には、生活習慣の課題が隠れていることがあります。自身の生活習慣を見直さないと、最悪の場合再発するリスクがあります。生活習慣は一朝一夕で変化するものではありません。必要性を認識した上で、繰り返し見直し、習慣として定着するように働きかけましょう。
三重県にもある!脳梗塞や脳出血後の後遺症により仕事でお悩みの方を支援している場所
脳梗塞や脳出血後の後遺症により、お仕事でお悩みの方をサポートしている場所は三重県にもあります。主に以下にあげる場所がその役割を担っています。
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援
- 就労継続支援
障害者就業・生活支援センター
障害者の生活や仕事を包括的にサポートしている窓口として、障害者就業・生活支援センター(通称、「ナカポツ」)があります。三重県内には、9箇所のナカポツがあり、自宅からの通いやすさを考慮して、相談することができます。生活と就業を一体的にサポートしているため、脳梗塞、脳出血後の後遺症に対して、再発予防に生きるサポートを受けることも可能です。
就労移行支援
障害者の一般就職に向けて、必要なスキルや就職のサポートをうけることができます。特に「企業との連携体制」に強みをもっており、一般就職前に「企業実習」などを積極的に受けることができます。その他にも、障害者の就職を手厚く支援するために、事業所独自の取り組みを行っていることもあります。気になる事業所には、1度問い合わせて見るのが良いです。
[ミライクの就労移行支援の特徴]
- 管理栄養士が監修した昼食が無料
- 看護師が在住し、体調を医学的に徹底的にサポート
- 駅からの送迎などをサポート
就労継続支援
今すぐに一般就職を目指すのが難しい方に対して、「お仕事の機会」を提供するのが就労継続支援になります。脳梗塞や脳出血後の後遺症が目立ち、一般企業での仕事が難しい方でも、最低限できることを生かして仕事を続けることができます。当然、実際に仕事を行った分だけ、工賃・賃金(収入)を受け取ることができます。
事業所によって、実施している作業内容がことなるため、「自分にあった仕事」を見つけて利用することができます。
[ミライクの就労継続支援(B型)]
- 地元企業と連携した豊富な仕事
- 個々の障害者の能力に合わせて提供できる仕事
※食事や体調管理、送迎サポートは就労移行支援と同じ

まとめ
脳梗塞、脳出血後の後遺症で仕事にお悩みの方は多くいらっしゃいます。調べてみると、そのような理由でお困りな方をサポートする窓口が三重県内にも多数あります。迷っている方は、まずは、1度連絡していただければ幸いです。連絡先が対応できなくても、地域で対応できる他の機関につないでもらうなど、手厚くサポートを受けることが可能です。弊社にご相談をいただければ、専門スタッフがご状況をお伺います。お気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございます。